昭和医学会雑誌
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原著
定位放射線治療後手術治療を必要とした聴神経鞘腫の臨床分類と病理所見
福田 直佐々木 晶子小林 信介北原 功雄水谷 徹
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2012 年 72 巻 4 号 p. 479-487

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抄録
放射線治療後腫瘍制御が不良で手術治療を施行した10例の手術適応,手術時期,画像所見,術中所見,病理所見に関して検討した.平均年齢は52.3歳(17~70歳),男性5例,女性5例,放射線治療はガンマナイフ8例,Xナイフ1例,陽子線1例で,放射線治療から手術にいたる期間は平均63.3か月(30~96か月)であった.手術適応は,腫瘍実質成分増大が原因で神経症状の悪化や追加が認められた症例,嚢胞が腫瘍実質外に拡大し神経症状の悪化や追加が認められた症例の2つに分類した.画像所見は,Large cystic type(LC),Multi-micro cystic type(MC),Solid component enlargement type(SC)の3つに分類した.放射線治療から手術治療までの期間に関しては,2年以上5年未満,5年以上8年未満,8年以上の3つに分けた.手術適応では腫瘍実質の増大が認められた症例が2例,嚢胞の腫瘍実質成分外への拡大が認められた症例が8例であった.画像所見ではLCが8例,MCが2例,SCが0例であった.手術までの期間は2年以上5年未満が4例,5年以上8年未満は4例,8年以上は2例であった.病理所見では悪性転化していた症例はなく,放射線治療による血管閉塞や血管透過性の亢進が病態の主体であった.MCはHemosiderosisが顕著で小出血を繰り返していることが予想された.術中所見では,周囲の神経や小脳との癒着やくも膜肥厚は顕著で全摘出は非常に困難であったが,減圧手術に関して,LCは出血が少なく容易であり,MCは易出血性で困難であった.過去の報告で認められたSCは照射後2年以上経過したものを対象とした本報告では認めなかった.過去の報告でも悪性転化した1例を除くと全て照射後2年以内の症例であり,Transient swellingであった可能性がある.
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© 2012 昭和大学学士会
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