昭和医学会雑誌
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MAO阻害薬アミフラミンの薬物動態と脳内セロトニン量の変化
平井 隆文内田 英二橋本 みゆき小林 真一小口 勝司安原 一
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1987 年 47 巻 2 号 p. 239-245

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抄録
近年, 使用法が簡便で副作用が少ない可逆的なモノアミン酸化酵素阻害薬 (MAOI) の抗うつ薬としての可能性が注目されている.可逆的なMAOIは従来の非可逆的なMAOIと比較して薬効をコントロールしやすい利点がある.そこで今回我々は可逆的なMAOIであるアミフラミン (AMF) を用いその代謝と薬効との関係について検討した.Wistar系雄性ラット (150~2009) を用い, control群 (AMF 5 mgikg経口投与) . phenobarbital (PB) 投与群 (PB 80mg/kg, 3日間腹腔内前投与) , SKF-525A (SKF) 群 (SKF 50mg/kg単回経口前投与) の3群に分けAMF 5mg/kg経口投与後, 0.5, 1, 2, 4, 6, 8, 12時間後断頭し, 血液, 脳を採取した.血中.脳内のAMFとその代謝物であるFLA 788はHPLC-電気化学検出器で, 脳内セロトニン (5-HT) 及びその代謝物5-ヒドロキシインドール酢酸 (5-HI-AA) はHPLC-螢光検出器で測定した.又MAO活性は脳のホモジネートを酵素標品とし, 基質に5-HT, フェニルエチルアミン (PEA) を, 阻害薬にはAMF, FLA 788, を使用しRI法で測定し, 以下の結果を得た1) 脳内MAO活性は基質に5-HTを用いた場合, AMFにより10-7M付近から, FLA 788により10-8M付近より阻害されはじめ10-4Mでほぼ完全に阻害された.2) AMFのCmax, AUCは血中, 脳内ともにcontrol群と比較しPB群では小さくなり, SKF群では大きくなった.脳内FLA 788のCmax, AUCはPB群, SKF群ともに減少を示した.3) AMF, FLA 788共に血中と脳内濃度の間に有意な相関がみられた.4) 脳内5-HT濃度は3群すべてで増加, 5-HIAA濃度は3群すべてで減少したが, その変化の大きさはSKF群>control群>PB群の順であった.AMFとその活性代謝物FLA 788はtype A MAOを選択的に阻害し, その血中濃度と脳内濃度の問に相関関係がみら, れた.又, PB, SKF前投与により脳内FLA788が同程度に減少したにもかかわらず5-HT, 5-HIAAの変化に相違が出たことからin vivoではin vitroと比較して未変化体であるAMFのMAO阻害作用が強くでることが示唆された.
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