昭和医学会雑誌
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PHAP IとPHAP IIの標的タンパク質の探索
立野 慶萩原 民雄田中 隆佳本橋 克利竹田 二美代竹田 稔
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1999 年 59 巻 2 号 p. 195-201

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抄録
われわれは中枢神経系の発生・分化に関わる蛋白質/遺伝子を単離同定する過程で, ヒトリンパ芽球性B細胞株で見いだされた主要組織適合性抗原HLA-DRの細胞内ドメインに結合すると予想される蛋白質PHAP IおよびPHAP IIのホモローグが, ラット胎児脳サイトゾール画分に多量に発現し, 神経系の発達とともに減少していることを報告してきた.本実験では, 神経系におけるPHAP IおよびPHAP IIの生理機能を調べるため, これらと相互作用する蛋白質の探索を行なった.大腸菌で発現させたPHAP IおよびPHAP IIをリガンドとしてaffinity matrixを作成し, ラット胎児脳可溶性画分に存在する結合蛋白質をaffinity chromatography法により部分精製を行ったところ, 数種類のPHAP IおよびPHAP II結合タンパク質を見いだした.PHAP I結合タンパク質画分の中にはPHAP Iのセリン残基をリン酸化するプロテインキナーゼ活性が存在し, 同様の活性がPHAP II結合タンパク質画分中にも認められた.しかしながら, このプロテインキナーゼはPHAP II自体をリン酸化しなかった.
現在のところ, このプロテインキナーゼを含め, 結合タンパク質が何であるかは未同定であるが, PHAP IおよびPHAP IIが細胞内で種々のタンパク質と相互作用しており, また, その機能活性の調節にプロテインキナーゼが関与することが示唆された.
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