昭和医学会雑誌
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シックハウス症候群の疫学調査
子安 ゆうこ津村 智恵子神田 晃川口 毅酒井 菜穂今井 孝成小田島 安平
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2004 年 64 巻 3 号 p. 301-309

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抄録
シックハウス症候群 (Sick House syndrome; 以下SHS) とは, 建物の室内環境が原因で健康被害を呈するものである.SHSは社会的には認知されているが, 医学的な定義, 疾病概念は曖昧であった.今回, SHSの病態解明のための全国規模の調査班が結成され, 疫学調査を行った.このうちSHSの定義が同じ地域の対象者1456人を対象に調査結果に基づいて, SHSの診断及び治療に結びつくと考えられた特異的なライフスタイルの特徴と症状を捉えるために検討を行った.調査対象をSHS群, SHS疑い群, 非SHS群の3群に分別し因子分析を行った結果, 不定愁訴, 粘膜刺激症状, 睡眠障害の3因子が抽出された.さらにSHSの発症要因を解明するため重回帰分析の手法を用いて性別, 住居の築年数, 睡眠時間, ストレスの有無, 喫煙状況, 建材, ヒーター, ペット, アレルギーの有無について分析を行なった.その結果, アレルギー疾患を有しているものに最も関連が強く, 次に睡眠時間が短く, ストレスを強く感じているものにSHSの発症が多かった.また, 住居の築年数は有意な関連は認めなかったが, 建材は症状発現に有意に影響していることが認められた.以上の結果よりSHSの予防ならびに症状の改善のためには規則正しい生活, ストレスの回避, アレルギー疾患の治療, 環境原因因子を除去することが大切であることが示唆された.
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