2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 534
我々は近赤外パルスレーザーを用いたコラーゲン産生促進の基礎検討として、レーザー照射後の線維芽細胞におけるコラーゲンおよびHeat shock protein 47 (HSP47) 産生量の検討を行なった。現在行われている皮膚に対する非選択的レーザー治療は、水を主な吸収体とした光熱作用を機序としており、熱による細胞障害や痛みが発生する。我々はSelective photothermolysisを応用し、コラーゲンの吸収係数が大きい波長、最適なレーザー照射条件を用いることでコラーゲンを選択的に加温できると考えた。コラーゲンからの伝熱により繊維芽細胞を緩徐に加温し、HSP47発現量の増加を介したコラーゲン産生の促進を図る。この手法を用いることで、従来のレーザー治療と比較して熱的な細胞障害と痛みを低減したレーザー治療機器を開発できると考える。低侵襲レーザー治療器開発に向け、レーザー照射条件による繊維芽細胞活性およびタンパク質産生量変化を検討した。放射照射量、ピークパワーを変化させて96 well plateに播種したヒト皮膚繊維芽細胞へレーザーを照射した。照射24時間後と48時間後の細胞活性およびI型コラーゲン、HSP47発現量を定量した。