抄録
トンネル掘削工事等に発生する重金属を含む汚染土壌処理方法として、盛土のような土構造物内に汚染土壌を封じ込め、自然降雨の浸透により底部に設置された吸着層で重金属を浄化する「待ち受け工法」が考えられる。しかし盛土内を浸透・移動する水分は自然降雨のため、その降雨量は数mm/dの降雨から数百mm/dの豪雨まであり、底部に設置された吸着層が安定して機能を発揮できない可能性が高い。そこで盛土天端部に特殊シートと豆砂利で構成された降雨浸透抑制層を有する「多機能盛土」を提案し、すでに室内降雨浸透実験から降雨量と排水率の関係および有効な表層勾配について有用な成果を得ている。また北九州市エコタウン実証エリアに実規模の多機能盛土を2010年11月中旬に施工し、2010年12月下旬より2012年8月末まで計測を行っている。本報告では約1年8ヶ月間の計測結果に基づき降雨浸透抑制効果について検討を加える。