第三次社会資本整備計画において下水汚泥エネルギー化率が定義され、大都市下水処理場における下水汚泥のリサイクル戦略は、エネルギー利用に焦点を当てた時代へと移行している。現状、脱水汚泥の処理は焼却(汚泥専焼、850℃での高温焼却)に依存しており、エネルギー回収ができていない焼却をエネルギー化技術へと転換していくことが求められる。そこで本研究では、下水汚泥エネルギー利活用システムの設計と評価を実施するための熱収支解析モデルを開発した。対象とした下水汚泥エネルギー化技術は、革新型焼却・廃熱発電システム(低圧蒸気・高温水からの発電方式、ならびに高圧蒸気からの発電方式)、乾燥機付き焼却・廃熱発電システム(低圧蒸気からの発電方式)、乾燥造粒、低温炭化である。システムの評価指標は、エネルギー収支と温室効果ガス排出量の2指標とした。