本研究では,政治的消費行動の一つであるバイコットおよびボイコットに関する研究に焦点をあてる。これまでの研究では,その特徴や歴史とともに,人々の属性や利他性との結びつきが考察されてきた。その一方で,日本ではそもそも政治的消費行動をとる人々は少ないとされ,あまり研究されてこなかった。しかしながら,東日本大震災やコロナ禍を経て,バイコットに似た応援する消費行動(応援消費)が注目されるようになっている。そこで本研究では,日本における政治的消費行動の現状を明らかにするとともに,こうした消費行動と利他性の関係を考察する。その結果,先行研究と同様に利他性との結びつきが示されるとともに,バイコット,ボイコット,および双方を行うデュアルコット間の特徴も明らかにされる。