JSMDレビュー
Online ISSN : 2432-6992
Print ISSN : 2432-7174
5 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
査読論文
  • 朝岡 孝平
    原稿種別: 査読論文
    2021 年 5 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/09
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    本論文では,消費文化理論(CCT)の諸文献をレビューし,CCT研究の射程の広がりや消費者行動/マーケティング研究者や実務家にとってCCTが持つ意義を検討する。CCTとは,製品やサービスにまつわる様々な文化的側面を持つ消費者の行為とそれに関わる現象について,それが生じるメカニズムや消費者にとっての意味を明らかにし理論化しようとする研究領域である。本論文ではまず,既存研究で整理されたCCTの4つの研究プログラムについて概観する。次に,近年のCCT研究の射程の広がりとして,(1)市場システムダイナミクス,(2)消費のポリティクス,(3)技術への注目という3つの研究群について紹介を行う。これらを踏まえて,CCT以外の研究者やマーケティングの実務家にとってCCTが持つ「消費者やマーケティング現象を理解することに役立つ」という意義を説明し,今後の研究課題についても述べる。

  • 間島 羽奈子
    原稿種別: 査読論文
    2021 年 5 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/09
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    超高齢社会において,生きがいの獲得につながる生涯学習が重視されているが,社会教育施設のサービス品質が高齢者の学習満足度に与える影響は検討されてこなかった。本稿は,社会教育施設の一つである公立図書館を取り上げ,①図書館の提供するサービスが,高齢者の学習満足度に与える影響,および,②提供サービスと学習満足度の関係に対する利用頻度のモデレート効果を検討する。図書館のサービス品質を構成する代表的な3つの次元とともに,学習プログラムに関するサービス品質を測定する尺度を設計し,60~69歳の利用者(n = 206)を対象に質問紙調査を実施した。階層的重回帰分析の結果,「場としての図書館」と「学習プログラム」の2つの次元が学習満足度を高めていた。また,利用頻度が少ない場合に,「学習プログラム」が学習満足度をより高める傾向にあった。本研究の貢献は,サービス品質研究の対象を生涯学習の文脈に伸展させ,社会教育施設としての図書館のサービス品質が高齢者の学習満足度に与える影響を明らかにした点にある。

  • 犬塚 篤
    原稿種別: 査読論文
    2021 年 5 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/26
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    本論では,国内宿泊予約サイトの口コミ情報をもとに,顧客のサービスに対する期待値を推定する方法を提案する。その基本的な考え方は,期待値に関連したキーワードを口コミ情報から抜き出し,前後の文章とそのサービスに対する評価値を照合させることで,顧客がもつ期待値を推定しようというものである。東横INNとアパホテルのビジネスホテルチェーンを対象に期待値を推定した結果,前者は後者に比べ,多くの要素において期待値が低いことが明らかになった。また,本論が提案する推定法は従来の方法に比べ,チェーン間の期待値の差やサービス知覚品質が明確に現れる可能性が示された。

  • 水越 康介, 大平 修司, スタニスロスキー スミレ, 日高 優一郎
    原稿種別: 査読論文
    2021 年 5 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/11
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    本研究では,政治的消費行動の一つであるバイコットおよびボイコットに関する研究に焦点をあてる。これまでの研究では,その特徴や歴史とともに,人々の属性や利他性との結びつきが考察されてきた。その一方で,日本ではそもそも政治的消費行動をとる人々は少ないとされ,あまり研究されてこなかった。しかしながら,東日本大震災やコロナ禍を経て,バイコットに似た応援する消費行動(応援消費)が注目されるようになっている。そこで本研究では,日本における政治的消費行動の現状を明らかにするとともに,こうした消費行動と利他性の関係を考察する。その結果,先行研究と同様に利他性との結びつきが示されるとともに,バイコット,ボイコット,および双方を行うデュアルコット間の特徴も明らかにされる。

  • 高嶋 克義, 兎内 祥子
    原稿種別: 査読論文
    2021 年 5 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/12
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    企業におけるCSRに関わる活動は,企業の本部スタッフ部門が企業次元での活動として行うのが一般的であるが,製品事業部においても製品ブランディングとしての活動を展開することがある。本稿では,この製品次元のCSR活動が企業ブランディングのもとに統合的に管理されるのではなく,企業次元の活動とは独立して展開されやすく,活動間に異質性が表れるという現象を捉え,製品次元のCSR活動が企業次元の活動とはなぜ独立して展開されやすいのか,そのような2種類のCSR活動を並行的に展開することで,企業はどのようなCSRの追求を行うことになるのかという課題を企業の組織と管理に関する議論に基づいて考察する。そのうえで,製品事業の分権制が維持される企業においては,企業次元ではステークホルダー・コミットメントの追求,製品次元ではブランドマーケティングの追求という組み合わせで展開されやすいことを推論する。

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