抄録
当院の重症心身障害児(者)病棟におけるリハビリテーションの現況について報告する。
方法
2013年6月時点でのリハビリテーション実施状況を診療記録から調査した。
結果
入院中の205名の患者の中でリハビリテーション訓練を実施している患者は46名(22.4%)であった。年齢は4歳から60歳(平均26歳)、大島分類では分類1:36名、分類2:5名、分類5:1名、分類9:1名、分類10:3名であった。担当する理学療法士は4名であった。訓練内容では、関節可動域訓練は全員に行われており、座位訓練はリハビリ実施者46名中18名(39.1%)、胸郭のストレッチは6名(13%)、歩行訓練は3名(6.5%)であり、歩行訓練を施行されていたのはいずれも大島分類10の患者であった。言語聴覚士による摂食訓練は2名で行われており、3歳と5歳の患者であった。訓練時間(単位数)と訓練頻度(一週間当たりの回数)は、1単位×週3回:20名、1単位×週2回:15名、1単位×週1回:7名、2単位×週3回:3名(3歳児1名、4歳児2名)、2単位×週2回:1名であった。
考察
当院の重症心身障害児(者)病棟におけるリハビリテーション訓練は、大島分類1に該当する患者で関節可動域訓練が主として行われており、拘縮防止の目的での訓練比率が高いと思われた。歩行訓練の実施は少なかったが、加齢とともに移動能力が低下する患者も多くみられることから、今後は高齢者の移動能力の維持といった目標設定も必要になってくるものと思われる。また5歳以下の幼児で訓練時間が多い児がいたが、これは一般病棟での急性期リハの延長として訓練が継続されているためであった。post-NICUとしての重症心身障害児(者)病棟の役割を考えるとき 、一般病棟からの移行後のリハビリテーションについて今後ある程度の方針を作っていく必要があると考えられた。