抄録
近年、重症心身障害児(者)(以下、重障児(者))においても栄養管理の重要性が指摘されている。また、栄養療法の進歩により、様々な経腸栄養剤や治療フォーミュラ(特殊ミルク、治療乳)が開発・普及している。しかし、その中には、必須栄養素が必要量含有されていないものがある。そのような栄養剤を使用して、欠乏症が多く報告されている。主なものとしては、エンシュアリキッド®にはカルニチン、セレン、ヨウ素;エレンタール®にはカルニチン、セレン;ラコール®にはカルニチン、ヨウ素;牛乳アレルゲン除去ミルク・乳糖除去ミルク・MCTミルク・ケトンフォーミュラ・先天性代謝異常症用ミルクなどにはビオチン、カルニチン、セレン、ヨウ素がほとんど含まれていない。これらを単独で使用すると、含有量の少ない栄養素の欠乏を来す恐れがある。したがって、これら栄養剤・治療乳を単独で使用する場合は、欠乏症に注意し、必要に応じて補充することが大切である。