日本重症心身障害学会誌
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シンポジウム1:重症心身障害児(者)へのこれからのリハビリテーション
重症心身障害児(者)へのこれからのリハビリテーション
栗原 まな
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2014 年 39 巻 1 号 p. 29-31

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抄録
Ⅰ.座長の立場から 重症心身障害医療の分野では従来から理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)などのリハビリスタッフの関わりがある。リハビリの分野では日進月歩、新しい技術の導入が見られるが、重症心身障害の分野にはその恩恵がなかなか得られていない。そこで今回は重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))に向き合うスタッフにとってリハビリの新しい知識・技術の広がりが得られるようなシンポジウムを企画した。髙嶋幸男先生の「重症心身障害の脳」の講演と、山海嘉之先生の「ロボットスーツ、最先端技術」の講演と関連づけた形でまとめた。はじめに小児神経専門医およびリハビリ専門医としての観点から当センターの重症心身障害施設(七沢療育園)などの診療を通した全般的な話を行う。次いで奥田PTから「自ら動く」というテーマでThe SPIDERを用いた理学療法の話を、岸本OTからは重症児(者)の生活に寄り添う作業療法の話を、最後に高見STからは認知・コミュニケーション支援と摂食嚥下支援について発表していただく。 Ⅱ.医師の立場から 重症児(者)においては、はじめに「医療」がある。七沢療育園長期入所者の現在の平均年齢は約50歳であるが、重症者においても高齢化の問題が生じてきており、呼吸器疾患・神経疾患・消化器疾患など従来からの疾患に加え悪性腫瘍や脳血管障害への対応が求められるようになってきている(図1)。医療と並行して、機能の改善、機能低下の予防、介護量の軽減への対応を行う(図2)。長期入所者延べ95例のうち機能退行が見られたのは31例で、退行が始まった年齢の平均は14.4歳であった。機能低下の原因は、痙縮・過緊張・関節拘縮・側彎などによる場合、肺炎・イレウス・てんかんなどにより身体機能が低下する場合、学校生活が終わり運動量が減少する場合などであるが、リハビリによって機能低下を防ぐのは容易ではない。リハビリの分野では、従来のものに加え新しい技術が取り入れられてきているが、その多くはリハビリ工学の進歩に基づくものである。これらは専門的な知識が必要となるが、専門的になればなるほど、関連する多職種がチームを組んでアプローチしていくことが必要である。 重症児(者)のリハビリではPTの関わりが最も多く、呼吸排痰訓練・適正姿勢の確保・補装具の作製などが行われる(図3)。補装具の作製にはPT・リハビリ工学士・装具業者・看護師・支援員がチームで関わる。OTは日常生活用具の作製、感覚統合、介護法指導などを行う(図4)。STはコミュニケーションと摂食嚥下の分野に関わる(図5)。摂食嚥下訓練には、医師・PT・ST・看護師・支援員がチームで関わる。一般的な補装具・福祉機器だけでなく、リハビリ工学を駆使した機器や当センターに導入された歩行支援ロボットHAL®も紹介する(図6)。このシンポジウムが重症児(者)のこれからのリハビリに役立つと嬉しい。 
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