抄録
はじめに
重症心身障害児者の爪には、巻き爪・肥厚爪・陥入爪・爪甲剥離(爪甲がもろく剥がれやすい)・ピポクラテス爪(爪が円形ドーム状に指先を覆う)・さじ状爪(爪が凹んでスプーン状に反り返る)などが多く見られる。爪をカットする際に爪と一緒に皮膚も切ってしまう深爪や、爪の角が残ったままのため掻き傷を生じてしまうなど、爪ケアに関係する外傷が多く発生している。そこで、利用者個々にあった爪ケアの方法をネイリストを交え検討し、マニュアルを作りながら適切な爪ケアの方法を学習し実施する取組を行った。
方法・経過
1.ネイリストに依頼し、爪切りや爪ヤスリの正しいケアの方法について勉強会を行った。
2.御家族、後見人に、この取組の目的・方法・ヤスリなど消耗品購入費用などの説明を行った。
3.全利用者の爪をネイリストにチェックしてもらい個々のケアの方法を検討した。
4.施術周期チェックシート、爪ケアに使用の用具の選択基準シートを作成しケアの手順を決めた。
5.技術指導講習項目を決定しまず医療安全検討委員(各棟2〜3人、計10人)がネイリストから爪ケアの具体的な技術指導を受けた。
6.医療安全検討委員から、病棟スタッフへの伝達講習を行った。
7.その後に利用者への爪ケアを実施したが、伝達講習では技術が正しく伝わらず爪ヤスリによる外傷を生ずる例があったため、全職員に対してネイリストからの技術指導を実施した。
8.技術指導終了者のみ施術を行う事にした。
9.全職員への技術指導と並行し、マニュアルを作成、施術の振り返りを行った。
10.ネイリストにより爪のケア度を定期的にチェックして貰う事にした。
結果と考察
この取組により爪ケアに関連する外傷を減らすことができた。利用者の加齢・高齢化に伴い爪のケアが難しくなってきている中で、適切な爪ケアは重要な課題であり、スタッフの中からの爪ケアのエキスパートの育成など取組をさらに進めていきたい。