抄録
本研究は、医療的ケアを必要とする重症心身障害者(以下、重障者)と家族に焦点を当て、その生活状況、生活の維持に関わる主な在宅支援サービスの利用状況、利用における問題点と課題を家族の視点から明らかにし、今後の在宅支援のあり方を検討した。その結果、重障者と介護する家族の生活は深刻な状況にあり、乳幼児期や学齢期とは異なった支援の問題と課題が明らかになった。今後の在宅支援サービスの構築に向けて次のような課題があることを指摘した。すなわち、1.重障者と介護者の特徴の理解とニーズの潜在化の認識の必要性 2.小規模の多機能施設拡充の必要性 3.医療的ケアの実施における関係性重視の必要性 4.介護者のQOL保障を前面に打ち出した家族支援施策の必要性についてである。