抄録
目的
小児看護領域における重症心身障害児(以下、重症児)看護を学ぶ看護学生の臨地実習において重症心身障害児(者)病棟の臨地実習指導者が行った実習指導の実際を報告する。
内容
過去3年間の重症心身障害児(者)病棟(以後、病棟)における臨地実習指導者による重症児看護に関する実習指導の実際を振り返った。振り返りには、実習をした看護学生への指導の概要と学生と臨床実習指導者との実習カンファレンスでの記録を用いた。
倫理的配慮
書面等による同意がないカンファレンス記録や実習時の学生の発言は研究データとして用いない。研究者が所属する看護部倫理委員会の承認を得た。
結果
研究者が所属する病棟では過去3年間に14グループ(1グループ約3〜5名)と1グループの1回の実習において1〜2回、合計27回のカンファレンスを実施していた。
実習指導として、①看護展開や行動計画への指導、②重症児の特性を踏まえた吸引や薬物投与の見学、経管栄養の実施、おむつ交換、清拭や介護浴など療養上の世話の実施、③学生の倫理的感受性への支援などを行っていた。
カンファレンスでは、健常児と重症児との違いに戸惑いや驚きを感じる学生への思いに寄り添い、学生が重症児から学んだ新たな知見や課題を今後の実習や看護師としての役割に活かす大切さを伝えていた。
考察
臨地実習指導者は、学生が教科書や事前情報によってイメージする重症児の特性や看護に対する思いに寄りそう一方で、看護学生のスキルや事前学習の準備状況、経験の乏しさなどを考慮した指導が必要である。重症児の看護の難しさのみではなく、重症児の理解の仕方や施設における看護師の役割や倫理観などを伝え、重症児看護の楽しさや施設における看護の必要性とその役割を感じられる学びに繋げる役割がある。そして、重症児看護の学習においては、学生の倫理的な感受性を高めるための教育支援も求められる。
申告すべきCOIはない。