日本重症心身障害学会誌
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一般演題
P-6-02 重症心身障害児の呼吸器感染症による入院患者数および入院日数の検討
小林 悟
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2019 年 44 巻 2 号 p. 441

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抄録
はじめに 重症児心身障害児(以下、重症児)は、嚥下障害、呼吸障害、側弯・胸郭変形、筋緊張亢進などの合併症のため、呼吸状態が悪化しやすく、呼吸器感染症で入院となることが多い。今回、当院に入院した重症児のうち、呼吸器感染症を病名とした症例について、入院患者数および入院期間について、非重症児と比較検討した。 対象 2014年1月から2018年12月までの5年間に当院へ呼吸器感染症を病名として入院した症例を抽出し、重症児群と非重症児群に分類し、両群の入院患者数および入院期間を後方視的に検討した。 結果 対象期間における入院総数および平均入院日数は、それぞれ重症児群が124人、7.5日、非重症児群が2976人、4.3日であった。各年度別では、重症児の入院総数(両群における重症児群の占める割合)が29人(5.2%)、33人(5.3%)、18人(2.5%)、17人(2.5%)、25人(6.1%)で、平均入院日数が7.5日、8.5日、7.5日、5.6日、7.6日(それぞれ、2014年、2015年、2016年、2017年、2018年)であった。重症児の入院総数124人のうち、患者数は40名で、入院回数が最も多い患者は12回(中央値2回)の入院歴があった。また、入院時の、かかりつけ医からの紹介の有無について検討したところ、2014年と2015年は各1人、2016年と2017年は各2人に対して、2018年は7人が、かかりつけ医からの紹介をとおして受診し入院していた。 考察 重症児群での入院日数は非重症児群と比べて長く、各年度をとおして入院日数に大きな変化はなかった。対象期間では、重症児の入院数と重症児群の占める割合に明らかな増加傾向はみられなかった。2018年には、かかりつけ医からの紹介が増加しており、重症児においても地域連携が進んでいることが示唆された。 申告すべきCOIはない。
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© 2019 日本重症心身障害学会
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