日本看護技術学会誌
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原著
化繊タオルの含有化学成分の有無が全身清拭の保温・保湿性に及ぼす影響
宮脇 健介松村 千鶴深井 喜代子
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2021 年 20 巻 p. 1-10

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抄録

 本研究の目的は, 化繊タオルの含有化学成分の有無が全身清拭の保温・保湿性に及ぼす影響を比較することである. 男子学生16名を対象に, 異なる日に同じ方法で, 成分含有タオルと成分除去タオルを用いて全身清拭を行った. 評価指標は深部温, 皮膚温, 心拍変動, 皮膚の水分量・油分量・pH, 血圧, POMS-J短縮版, VAS (覚醒度とリラックス度), 素材の肌触りのリッカートスケールを用いた. その結果, 両者ともに清拭前後において覚醒度の低下とリラックス度の増大, POMS-J短縮版の3項目の評点の低下, 最終的な深部温と前胸部の皮膚温の上昇に, それぞれ有意差がみられた. 成分含有タオルでは, 終了直前に右前腕の皮膚温の一時的な低下がみられたが, その時点の群間に有意差はなく, 保温性については両者ともほぼ同等であった. 成分含有タオルは成分除去タオルにくらべ, 終了直後の水分量の有意な上昇がみられたため, 一時的な保湿効果が認められた.

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© 2021日本看護技術学会
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