2021 年 20 巻 p. 47-56
本研究の目的は, 車椅子使用患者の移乗だけではなく, 下衣の着脱と臀部の拭き上げ等も含めた排泄前後のトイレ介助において, 人力のみの介助方法とスタンディングマシーンを使用した介助方法での看護師の身体的負担を, 主観的・客観的評価を用いて明らかにすることである.
研究対象者は看護師8名と患者役の健常高齢者1名とした. 看護師に2つの方法で介助を行ってもらい, 上腕二頭筋・傍脊柱筋の筋活動と, 腰部屈曲角度を測定した. 介助後, 質問紙調査を実施した.
結果, スタンディングマシーンを使用したトイレ介助方法は, 人力のみのトイレ介助方法と比較し, 所要時間は長くかかるが, 左右上腕二頭筋と左傍脊柱筋の筋活動と腰部屈曲が減少していた. 質問紙でも肯定的に受け止められており, 負担が軽減できることが示唆された.
負担をより軽減するためには, スタンディングマシーンを使用したトイレ介助方法に熟達するとともに, スタンディングマシーンを導入したうえでボディメカニクスを活かした姿勢・動作を行う必要がある.