抄録
【背景】これまで携帯型唾液アミラーゼ測定器を用いて外来患者に対するリラクセーション技法の実施効果を明らかにした研究はない.
【目的】携帯型唾液アミラーゼ測定器がリラックス反応評価に有用か否かを検討すること.
【方法】外来患者91名に対し延べ278回のリラクセーション技法を実施した.リラクセーション技法実施前後に唾液アミラーゼ活性値 (以下sAMY),収縮期血圧,脈拍数,主観的尺度を測定し分析を行った.
【結果】リラクセーション技法実施後に収縮期血圧と脈拍数は有意に低下し,主観的尺度得点は有意に上昇したことからリラックス感が得られたことが確認された.一方,sAMYはリラクセーション技法実施後に有意な変化を認めなかった.また,主観的尺度得点と収縮期血圧,脈拍数との間で有意な相関を認めたが,sAMYと有意な相関は認められなかった.
【結論】携帯型唾液アミラーゼ測定器は,外来患者におけるリラクセーション技法実施時のリラックス反応評価には適切ではないと考えられた.sAMYの反応性,携帯型唾液アミラーゼ測定器の使用条件などに関してさらなる検討が必要である.