日本栄養・食糧学会誌
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冷えを訴える女性に及ぼす酵素処理ヘスペリジンの効果
吉谷 佳代南 利子宅見 央子鏡 義昭白石 浩荘米谷 俊
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2008 年 61 巻 5 号 p. 233-239

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抄録
ヘスペリジンは柑橘類に多く含まれ,末梢血管強化作用が知られている。サイクロデキストリン合成酵素によってヘスペリジンを配糖化し,吸収性を向上させた酵素処理ヘスペリジンを用いて,冷え症女性に与える影響について検討した。冷えを訴える女性11名(29.6±3.9歳)を対象に酵素処理ヘスペリジン(250 mg/日)またはプラセボ(粉糖,250 mg/日)を二重盲検交差法により摂取させ単回摂取40分後と7日間継続摂取後において,手掌部に15°C,1分間の冷却負荷を与え,その後の皮膚表面温,皮膚血流量,血管幅の変化を評価した。その結果,酵素処理ヘスペリジン単回摂取時は,プラセボに比べて冷却負荷後の温度変化量,血流変化率が有意に高く,酵素処理ヘスペリジン継続摂取時においても,冷却負荷後の温度変化量,血流変化率が有意に高値を示した。よって,酵素処理ヘスペリジンを摂取することで,末梢の血流量が増加して,皮膚表面温度を回復させると考えられる。また,継続的に摂取することでその効果が維持され,冷えを緩和する可能性があることが示唆された。
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© 2008 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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