日本栄養・食糧学会誌
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新潟の食用菊“かきのもと”の胃腸管運動の亢進および二糖類分解酵素阻害作用
小林 義典長谷川 亮平五十川 みさき
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2008 年 61 巻 6 号 p. 265-271

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抄録

新潟の伝統野菜“かきのもと”は,食用菊Chrysanthemum morifolium Ramat. forma esculentum Makinoの一種である。本研究では,食用菊の消化管運動および消化吸収に及ぼす影響を検討することを目的とした。食用菊“かきのもと”花弁の熱水抽出物を油脂・ショ糖混合溶液に10 w/v%添加し,マウスに経口投与したところ,消化管内容物の胃滞留時間の短縮,消化管移行の亢進,トリグリセライドの吸収抑制および血糖値上昇の抑制が認められた。次に,ラット小腸由来α-グルコシダーゼへの影響を検討したところ,食用菊花弁熱水抽出物は強い阻害活性を示し,スクラーゼ,マルターゼに対する50%阻害濃度は,それぞれ34.6,20.0 mg/mLであった。また,ヒトにおける50 gショ糖負荷試験(11名)において,食用菊“かきのもと”凍結乾燥粉末10 w/v%添加したショ糖溶液では,負荷後15分および30分での血糖値上昇の抑制,および負荷後から60分までの血糖値変化量の曲線下面積(ΔAUC)の積分値の減少を認めた。以上の結果から,食用菊“かきのもと”が血糖値上昇抑制作用を有する機能性食品素材として有望であることが示唆された。

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© 2008 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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