日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
61 巻 , 6 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
報文
  • 都築 毅, 武鹿 直樹, 中村 祐美子, 仲川 清隆, 五十嵐 美樹, 宮澤 陽夫
    2008 年 61 巻 6 号 p. 255-264
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/01/30
    ジャーナル フリー
    日本人の食事は世界から健康食として注目されている。しかし,日本人の食事をニュートリゲノミクス手法を用いて遺伝子発現レベルで,欧米の食事と比較し評価した研究はない。そこで本研究は,「日本食」と「米国食」を飼料としてラットへの給与試験を実施し,DNAマイクロアレイを用いて両食事の肝臓遺伝子発現レベルの相違を網羅的に検討した。日本食(1999年)と米国食(1996年)の献立を作成し,調理し,凍結乾燥粉末に調製したものを試験試料とした。ラットに3週間これを摂取させ,肝臓から総RNAを抽出し,DNAマイクロアレイ分析を行った。その結果,日本食ラットは米国食ラットと比べてストレス応答遺伝子の発現量が少なく,糖・脂質代謝系の遺伝子発現量が多かった。とくに,日本食では摂取脂質量が少ないにもかかわらずコレステロール異化や排泄に関する遺伝子の発現量が顕著に増加していて,肝臓へのコレステロール蓄積が抑制された。よって日本食は米国食と比べて,代謝が活発でストレス性が低いことから,日本食の健康有益性が推察された。
  • 小林 義典, 長谷川 亮平, 五十川 みさき
    2008 年 61 巻 6 号 p. 265-271
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/01/30
    ジャーナル フリー
    新潟の伝統野菜“かきのもと”は,食用菊Chrysanthemum morifolium Ramat. forma esculentum Makinoの一種である。本研究では,食用菊の消化管運動および消化吸収に及ぼす影響を検討することを目的とした。食用菊“かきのもと”花弁の熱水抽出物を油脂・ショ糖混合溶液に10 w/v%添加し,マウスに経口投与したところ,消化管内容物の胃滞留時間の短縮,消化管移行の亢進,トリグリセライドの吸収抑制および血糖値上昇の抑制が認められた。次に,ラット小腸由来α-グルコシダーゼへの影響を検討したところ,食用菊花弁熱水抽出物は強い阻害活性を示し,スクラーゼ,マルターゼに対する50%阻害濃度は,それぞれ34.6,20.0 mg/mLであった。また,ヒトにおける50 gショ糖負荷試験(11名)において,食用菊“かきのもと”凍結乾燥粉末10 w/v%添加したショ糖溶液では,負荷後15分および30分での血糖値上昇の抑制,および負荷後から60分までの血糖値変化量の曲線下面積(ΔAUC)の積分値の減少を認めた。以上の結果から,食用菊“かきのもと”が血糖値上昇抑制作用を有する機能性食品素材として有望であることが示唆された。
研究ノート
  • 高橋 孝子, 冨澤 真美, 伊藤 公江, 森野 眞由美, 上西 一弘, 石田 裕美
    2008 年 61 巻 6 号 p. 273-283
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/01/30
    ジャーナル フリー
    この研究は,1日のエネルギー摂取量が現在どのように食事区分ごとに配分され,摂取されているのか実態を明らかにすることを目的とした。対象者は,30歳から50歳代までの153名の首都圏在住の既婚勤労男性である。最初に,対象者を1日のエネルギー摂取量に占める朝食の割合で4分位に分類した。平日,休日ともにQ1(25パーセンタイル未満グループ)の1日のエネルギー摂取量が,他のグループに比べて有意に低かった。どのグループも夕食のエネルギー摂取量の割合が他の食事に比べて高かった。次に,栄養素の摂取量の分布を,食事摂取基準に照らして,パーセンタイルのグループごとに検討した。平日はQ2(25-50パーセンタイルグループ),休日はQ3(50-75パーセンタイルグループ)が栄養素の不足の可能性が低かった。八つの栄養素のうち,タンパク質,鉄,ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンCにおいて,食事摂取基準に照らし合わせた栄養素摂取量の分布にグループ間で有意な差が認められた。3番目に,間食内容に関しては,朝食のエネルギー摂取量を1とした食事摂取割合による1日のエネルギー摂取量による配分比(朝食:昼食:夕食:間食)を4分位のグループごとにみると,朝食摂取割合の少ないQ1では,平日1:12.8:15.3:3.3,休日1:4:6:1.9と,間食が朝食より大きな比率になっていた。平日,休日ともにQ3が現在推奨されている1:1.5:1.5に近い値であったが,それ以外に間食が0.4という比率で摂取されていた。
委員会報告
  • 栄養成分表示・栄養教育検討委員会報告書
    池上 幸江, 山田 和彦, 池本 真二, 倉田 澄子, 清水 俊雄, 藤澤 由美子, 由田 克士, 和田 政裕, 坂本 元子
    2008 年 61 巻 6 号 p. 285-302
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/01/30
    ジャーナル フリー
    食品成分表示・栄養教育検討委員会ではこれまで栄養成分表示に関する調査を行い,報告書として発表し,また栄養成分表示や健康強調表示に関するシンポジウムなどを開催してきた。前期の委員会では栄養成分表示と健康強調表示に関する意識調査を多様な対象者について行った。今期はこの調査結果を以前の調査と比較しながら,報告書としてまとめることとした。また,今後は新たな調査も加えて,栄養教育の観点から栄養成分表示や健康強調表示のあり方について,一定の見解をまとめた。本調査では,栄養成分表示,健康強調表示については,特定保健用食品や栄養機能食品,「いわゆる健康食品」について,認知,利用,情報源などについて調査した。その結果,
    (1) 栄養成分表示は広く見られており,健康維持や増進のために利用されている。しかし,現状の表示は分かりにくく,また対象食品が限られていることから,消費者は改善を望んでいる。これらの結果は前回調査と同様であった。
    (2) 特定保健用食品の認知度はきわめて高く,利用もされていた。とくに若い世代,学生での認知や利用が高いが,高齢者や生活雑誌読者での利用は低かった。他方,関心のある保健の用途は「体に脂肪が付きにくい」や「お腹の調子を整える」,「腸内環境を整える」などであった。しかし,保健の用途の関心と成分の関連には十分な認識がなく,消費者への情報提供が十分ではないと思われた。
    (3) 栄養機能食品に対する認知や利用は特定保健用食品に比べると低かったが,世代間の傾向は(2)の特定保健用食品と同様であった。
    (4)「いわゆる健康食品」の利用については特定保健用食品の利用とは異なる傾向を示した。すなわち年齢階層による差異が少なく,高齢者による利用も高く,特定保健用食品とは異なっていた。
     「いわゆる健康食品」に関する情報源はテレビや知人・友人からのものが多く,科学的な根拠の入手が困難な状況にあることを反映している。今後「いわゆる健康食品」の有用性や安全性の確保についてどのような制度を作るかが課題と思われる。
feedback
Top