日本栄養・食糧学会誌
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トレハロースのランゲルハンス氏島保護作用:形態学的解析
新井 千加子宮田 学吉實 知代小出 一広溝手 晶子新井 紀恵花谷 利春新井 成之福田 惠温
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2013 年 66 巻 1 号 p. 17-24

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抄録
高脂肪食負荷マウスに2.5%トレハロース(Tre)飲水を8週間行うと他の糖質[グルコース(Glc),マルトース(Mal), 異性化糖(HFCS), フラクトース(Fru)]に比べ,有意な腸間膜脂肪細胞の肥大化抑制,インスリン抵抗性改善が認められたため,今回はランゲルハンス氏島(ラ氏島)への作用を調べた。同試験マウスのラ氏島,α細胞領域,β細胞領域の平均面積を免疫染色を用いて形態計測した。Treは水,Mal,Fruに比べ,有意にラ氏島肥大を抑制した。また,Treは,他の糖質や水投与群に比べて有意にα細胞領域の増加を抑制した。糖質の飲水15週後の糖負荷試験では糖負荷30分後の血中グルカゴン値がMal群に比べ,Tre群で有意に低かった。これらの結果からトレハロースはラ氏島の代償性肥大やα細胞増加による過剰なグルカゴン分泌を抑制するため,メタボリックシンドロームにおいてラ氏島を保護する優れた食品となる可能性が示唆された。
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© 2013 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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