抄録
基礎疾患のない低身長児のエネルギー必要量を検討するため,低身長児8 例(男4,女4,5.2±0.5 歳)を対象に二重標識水法と呼気ガス分析法を用いて総エネルギー消費量(TEE)と安静時エネルギー消費量(REE),呼吸商を測定し,身体活動レベル(PAL)を算出し,基礎代謝基準値を用いて求めた算出値と比較した。食事調査によりエネルギーと三大栄養素の摂取量を算出した。低身長児のTEE,REE の実測値は年齢が一致する算出値より有意に高く,PAL は食事摂取基準と差がなかった。食事の炭水化物エネルギー比率は食事摂取基準と比較して低値であった。低身長児のエネルギー代謝が亢進しているのは,何らかの理由で発育が遅延した状態であるのか,遺伝子的変異が生じているのか明らかではないが,食事の炭水化物摂取が少ないことが影響している可能性も考えられた。