抄録
玄米発酵食品(FBR)のヒト唾液アミラーゼ活性に対する見かけ上の阻害作用について調べた。まず,可溶性デンプンにFBRを混合した基質に希釈ヒト唾液を30分間反応させた後の残存デンプン量は,普通玄米を混合した基質(対照)に比べて有意な高値を示し,普通玄米に核酸(DNA・RNA)を添加した混合基質と差がなかった。つぎにアミラーゼ活性を比較した結果,FBR添加唾液と核酸添加唾液に差はなく,対照と普通玄米添加酵素に比べて有意に低く,Michaelis定数(Km値)は有意に高かった。また,Lineweaver-Burkプロットで阻害様式を推定した結果,これらの阻害様式は拮抗阻害と推定された。以上の結果から,FBRはα-アミラーゼ活性を見かけ上拮抗阻害することが示唆された。