日本栄養・食糧学会誌
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リコピン摂取時間帯がラットおよびヒトにおける体内吸収に与える影響
青木 雄大吉田 和敬信田 幸大砂堀 諭西田 由香加藤 秀夫菅沼 大行
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2017 年 70 巻 4 号 p. 147-155

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抄録

リコピンはトマトに豊富に含まれるカロテノイドであり, 強い抗酸化作用を有することが知られている。これまでに, 様々な栄養素の吸収に概日リズムが影響を与えることが示唆されてきているが, リコピンの吸収について, 摂取時間帯による影響を検証した報告はなされていない。そこで我々は, 摂取時間帯がリコピンの吸収に与える影響を, ラットを用いた動物試験および健常な成人男女を対象としたヒト試験で検証した。ラットおよびヒトに対し, リコピンを含む食品を, 時間帯を変えて摂取させ, 血中リコピン濃度を測定したところ, ラットでは活動期初期, ヒトでは朝に摂取した際に血中リコピン濃度が最も上昇した。また, リコピンを摂取するまでの絶食時間が長くなるほど, 血中リコピン濃度の上昇が大きくなることが示された。以上から, リコピンの吸収は絶食時間の長さの影響を受け, そのため朝に摂取した際に最も吸収率が高くなることが推測された。

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© 2017 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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