日本栄養・食糧学会誌
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研究ノート
特別用途食品えん下困難者用食品許可基準測定法の改善点の検討
棚橋 伸行廣森 晴香早川 まい野々田 千紘三輪 このみ
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2018 年 71 巻 2 号 p. 83-89

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抄録

近年, えん下困難者用食品許可基準測定法に対して問題点があることが指摘されている。そこで, 我々は特別用途食品えん下困難者用食品許可基準の各段階の物性範囲を検証した試料を用いて, この許可基準に対する改善点について検討した。プランジャーの高さ (8 mmと30 mm) の違いにおいて, お茶ゼリーと牛乳ゼリーの硬さ, 付着性及び凝集性の測定値はほとんど相違が示されなかったが, 圧縮速度が異なるとこれらの測定値も異なることが示された。測定用シャーレの直径の違いでは, 直径40 mmのお茶ゼリーの硬さと付着性は直径50 mmの試料より有意に高値を示すが, 凝集性は有意に低値を示すことが示唆された。さらに, 圧縮速度の違いで見られたお茶ゼリーの硬さ, 付着性及び凝集性の値は測定用シャーレを直径50 mmにすると, ほぼ同じになった。従って, えん下困難者用食品許可基準測定法に関して, 測定用シャーレの直径は物性値に影響することがわかった。

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© 2018 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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