日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
71 巻 , 2 号
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報文
  • 山中 千恵美, 青江 誠一郎
    2018 年 71 巻 2 号 p. 75-82
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/16
    ジャーナル フリー

    食餌中へのカルシウム (Ca) 添加量がマウスの膵臓の機能に及ぼす影響を調べた。KK/Taマウスを3群に分け, AIN-93G組成を基本とし, Ca含量が0.25% (L群) , 0.5% (M群) , 1.0% (H群) となるように炭酸Caを配合した飼料をそれぞれ7週間給餌した。その結果, 血清Ca濃度に差はなかったが, 血清リン濃度は, L群, M群に比べてH群で有意に高かった。血清副甲状腺ホルモン (PTH) 濃度は血清リン濃度と有意な負の相関が認められた。インスリン負荷試験 (ITT) では, 15分, 30分値の血糖値がM群に比べてL群, H群で有意に高かった。膵臓の機能に関わる遺伝子発現は, M群, H群に比べてL群で有意に高かった。膵臓の炎症に関わる遺伝子発現では, H群に比べてL群で有意に高かった。以上の結果, 低Ca摂取は, 膵臓での炎症を誘発し, インスリン抵抗性を示すことが認められた。また, 高Ca摂取では, 低Ca摂取とは異なり, 別のメカニズムで膵臓の機能に影響した可能性が示された。

研究ノート
  • 棚橋 伸行, 廣森 晴香, 早川 まい, 野々田 千紘, 三輪 このみ
    2018 年 71 巻 2 号 p. 83-89
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/16
    ジャーナル フリー

    近年, えん下困難者用食品許可基準測定法に対して問題点があることが指摘されている。そこで, 我々は特別用途食品えん下困難者用食品許可基準の各段階の物性範囲を検証した試料を用いて, この許可基準に対する改善点について検討した。プランジャーの高さ (8 mmと30 mm) の違いにおいて, お茶ゼリーと牛乳ゼリーの硬さ, 付着性及び凝集性の測定値はほとんど相違が示されなかったが, 圧縮速度が異なるとこれらの測定値も異なることが示された。測定用シャーレの直径の違いでは, 直径40 mmのお茶ゼリーの硬さと付着性は直径50 mmの試料より有意に高値を示すが, 凝集性は有意に低値を示すことが示唆された。さらに, 圧縮速度の違いで見られたお茶ゼリーの硬さ, 付着性及び凝集性の値は測定用シャーレを直径50 mmにすると, ほぼ同じになった。従って, えん下困難者用食品許可基準測定法に関して, 測定用シャーレの直径は物性値に影響することがわかった。

資料
  • 西村 桂一, 前田 樹海, 中村 きよみ
    2018 年 71 巻 2 号 p. 91-97
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/16
    ジャーナル フリー

    わが国では, 栄養学の観点から類似した数種の食品を野菜類や肉類などの「食品群」としてまとめ, 食育や食事療法などに活用されている。一方, 中医営養学においては, 食味すなわち食品の持つ味そのものが何らかの効能を持つと考えられており, 食味に基づいて食品はいくつかのカテゴリーに分類されている。この考え方は, 五行論, すなわち中国の5要素理論に由来しており, これらの5要素は臓腑ならびに食味と関連がある。本研究の目的は, これまで研究が皆無であった中医営養学の「食味」と「日本食品標準成分表」との関連性を明らかにする。『食物性味表』 (日本中医食養学会編著) 記載 (類推食品を除く) の379品中291品を『日本食品標準成分表』の「食品群」で分類し, 「食品群」と「食味」との関連性をFisherの正確確率検定で解析した。その結果, 解析対象の食品の約半数が「甘」であった。統計的に有意な関連性が示されたのは, 「甘」と「砂糖及び甘味類」, 「甘」「酸」と「果実類」, 「鹹」と「藻類」であった。これらの情報は健康作りへの活用が期待される。

  • 逸見 隼, 牧野 聖也, 狩野 宏, 浅見 幸夫
    2018 年 71 巻 2 号 p. 99-102
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/16
    ジャーナル フリー

    我が国では高齢化の進展に伴い, 健康寿命の延伸が課題となっている。この課題解決において健康機能を有する食品が果たすべき役割は大きい。我々は, 日常的に気軽に摂取できるヨーグルトを介した健康増進を目指し, 免疫賦活作用を有する菌体外多糖体を高産生する乳酸菌としてOLL1073R-1株を選抜した。本株で発酵したヨーグルトの摂取はマウスの脾臓細胞のインターフェロン-γ (IFN-γ) 産生を誘導し, ナチュラルキラー (NK) 活性増強効果や抗インフルエンザウイルス活性を発揮した。またヒトでは健常高齢者の風邪症候群の罹患リスクの低減効果や健常成人のインフルエンザワクチン接種後の抗体産生の増強効果を見出し, 自然免疫, 獲得免疫の両面から免疫機能を高め, 感染症に対する防御効果を増強することが示唆された。一方で, 気温変化の大きい季節の変わり目時期における疲労感を軽減することも示され, 体調管理に広く有用であることが明らかとなった。

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