日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
報文
卵白アレルギーモデルマウスにおいて,ガラクトオリゴ糖の経口投与は経口免疫療法によるアレルギー重症度の改善を減弱させる
片平 梨沙子前田 晃宏高橋 享子
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 72 巻 6 号 p. 257-265

詳細
抄録

ガラクトオリゴ糖 (GOS) が経口免疫療法 (OIT) の効果に及ぼす影響を検討した。Alumをアジュバンドとし, 卵白アレルギーモデルマウスを作製した。モデルマウスをNon-OIT群とOIT群, GOS群, OIT+GOS群に分け, 非感作マウスも用意した。OITは4週間とし, OITは1%卵白添加食を与え, GOSは30 mg/dを毎日強制経口投与した。アレルギー重症度は経口と腹腔負荷試験で, 制御性T細胞 (Treg) は脾リンパ球中CD4+ Foxp3+細胞比率で求めた。OIT後の経口負荷試験で, OIT群の直腸温低下はNon-OIT群より抑制されたが, OIT+GOS群は抑制されなかった。CD4+ Foxp3+細胞比率は高いほうからOIT群, OIT+GOS群, Non-OIT群であった。抗マウスCD25抗体でTregを下方制御させたモデルマウスに2週間のOITを実施しても, 経口負荷試験後の直腸温低下抑制は認められなかった。GOSをOITとの併用はOIT効果を減弱し, その現象にTregの減少が関与していると示唆された。

著者関連情報
© 2019 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top