日本栄養・食糧学会誌
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総説
乳酸菌B240の粘膜免疫サポート及び抗感染効果のコンディショニングフードとしての応用
(令和元年度日本栄養・食糧学会技術賞受賞)
中川 恭甲田 哲之濱田 広一郎菅谷 建作斎藤 高雄
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2020 年 73 巻 2 号 p. 55-60

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抄録

「乳酸菌B240」は, タイ北部の発酵茶ミヤンから単離された植物由来の乳酸桿菌である。B240は小腸のパイエル板から取り込まれ, 生菌と死菌ともに分泌型免疫グロブリンA (sIgA) の産生誘導活性を有する。基礎検討では, B240の経口投与により季節性及びパンデミックインフルエンザウイルス, 肺炎球菌やサルモネラに対する感染防御効果を認めた。さらにヒトにおいてはB240の経口摂取により唾液中sIgAの分泌が促進され, また用量依存的に風邪罹患割合を抑制することを実証した。一方, 我々は分岐鎖アミノ酸 (BCAA) の摂取による運動後の疲労感, 筋肉痛の軽減を認めており, またホエイプロテインを運動直後に摂取することで, 骨格筋量や筋力を増加させる効果を確認している。従ってB240とホエイプロテイン及びBCAAを組み合わせた食品は, アスリートだけでなく感染リスクの高い高齢者や受験生, ビジネスパーソンなど, 大切な時期に体調管理を心がけたい多くの生活者のコンディショニングフードとして貢献し得るものと期待される。

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