日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
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73 巻, 2 号
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総説
  • (令和元年度日本栄養・食糧学会技術賞受賞)
    中川 恭, 甲田 哲之, 濱田 広一郎, 菅谷 建作, 斎藤 高雄
    2020 年 73 巻 2 号 p. 55-60
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/15
    ジャーナル フリー

    「乳酸菌B240」は, タイ北部の発酵茶ミヤンから単離された植物由来の乳酸桿菌である。B240は小腸のパイエル板から取り込まれ, 生菌と死菌ともに分泌型免疫グロブリンA (sIgA) の産生誘導活性を有する。基礎検討では, B240の経口投与により季節性及びパンデミックインフルエンザウイルス, 肺炎球菌やサルモネラに対する感染防御効果を認めた。さらにヒトにおいてはB240の経口摂取により唾液中sIgAの分泌が促進され, また用量依存的に風邪罹患割合を抑制することを実証した。一方, 我々は分岐鎖アミノ酸 (BCAA) の摂取による運動後の疲労感, 筋肉痛の軽減を認めており, またホエイプロテインを運動直後に摂取することで, 骨格筋量や筋力を増加させる効果を確認している。従ってB240とホエイプロテイン及びBCAAを組み合わせた食品は, アスリートだけでなく感染リスクの高い高齢者や受験生, ビジネスパーソンなど, 大切な時期に体調管理を心がけたい多くの生活者のコンディショニングフードとして貢献し得るものと期待される。

研究ノート
  • 大力 一雄, 梁原 智晶, 河津 祐子, 牧野 聖也, 狩野 宏, 逸見 隼, 浅見 幸夫
    2020 年 73 巻 2 号 p. 61-66
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/15
    ジャーナル フリー

    ストレスを感じているタクシードライバー100名をランダムに2群に割り付け, 一方にブルガリア菌 OLL1073R-1 株で発酵したヨーグルトを夏期に1日1本 (112 mL) , 12週間摂取してもらい, ヨーグルト非摂取群と比較した。ストレスの度合いは簡易ストレス度チェックリスト (以下, SCL) のスコアで, SCLの主な項目は個別にVisual Analogue Scaleで, 便性は日本語版便秘評価尺度により評価した。その結果, ブルガリア菌 OLL1073R-1 株で発酵したヨーグルト摂取群 (n=39) は非摂取群 (n=47) と比較して12週間後に 1) SCLのスコアが有意に改善し, 2) 「めまい・ふらつき」と「疲労感」が有意に改善し「頭のスッキリ感」および「睡眠の満足感」が有意に高まり, 3) 「便の排泄状態」と「下痢または水様便」が有意に改善した。以上からストレスを感じているタクシードライバーはブルガリア菌 OLL1073R-1 株で発酵したヨーグルトを摂取することにより夏場の体調が改善する可能性が明らかとなった。

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