約2カ月間の健康増進教室参加者28名 (75±5歳 女性) の咀嚼能力, 握力, 食意識などを教室前後で比較し, 咀嚼, 栄養, 運動の指導の有効性について調べた。教室前後の調査項目は, 体重, 上腕周囲長, 下腿周囲長, 握力, 咀嚼能力 (チューインガム・グミゼリーを使用) , 食意識調査 (質問紙) , 栄養状態評価 (質問紙) とした。教室はテーマにそって, 講義と実習を行った (第2回「噛むことの大切さ」, 第3回「低栄養を予防する食べ方」, 第4回「運動の大切さと筋肉を鍛えるコツ」) 。教室実施期間中は, 咀嚼および栄養強化食品として高野豆腐を参加者全員に提供し, 摂取状況や噛むことの意識を毎日記録してもらった。参加者の教室前後の咀嚼能力を比較した結果, 有意に高くなっていた (チューインガム判定p=0.004, グミゼリー判定p=0.009) 。握力 (p=0.049) , 上腕周囲長 (p=0.012) も有意に増加していた。咀嚼の意識についての得点は, 教室前と比較して有意に高かった (p=0.016) 。