日本栄養・食糧学会誌
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食品のエネルギー値の算出方法についての検討:組成に基づく方法と従来法との比較
松本 万里渡邊 智子松本 信二安井 明美
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2020 年 73 巻 6 号 p. 255-264

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抄録

目的: 組成に基づく成分値を基礎とした食品のエネルギー値 (アミノ酸組成, 脂肪酸組成, 炭水化物組成などを用いたFAOが提唱する方法, 組成エネルギー値) と従来法によるエネルギー値の相違を明らかにすることを目的とした。方法: 日本食品標準成分表2015年版 (七訂) の収載食品を対象に可食部100 g当たりの組成エネルギー値を算出し, 既収載のエネルギー値 (既収載値) と比較した。さらに, 平成26年国民健康・栄養調査の食品別摂取量から, 組成エネルギー値および既収載値を用いてエネルギー摂取量を算出し, 両者を比較した。結果: 可食部100 g当たりの組成エネルギー値 (a) と既収載値 (b) との一致率 (a/b×100) は, 126±24% (藻類) から76±20% (野菜類) の範囲であった。一致率が100%未満の食品群は14群であり, 全食品の一致率は91±17%であった。一致率80‐100%の範囲に対象食品の68%が含まれ, 一致率60‐80%に対象食品の13%が, 一致率100‐120%に対象食品の12%が含まれていた。国民健康・栄養調査の食品別摂取量を基に, 組成エネルギー値を用いて算出した総エネルギー摂取量と, 既収載値を用いて算出した総エネルギー摂取量との一致率は, 92%であった。

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© 2020 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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