日本栄養・食糧学会誌
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73 巻 , 6 号
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総説
  • 田中 清, 上西 一弘
    2020 年 73 巻 6 号 p. 231-236
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/26
    ジャーナル フリー

    日本人の食事摂取基準2020年版におけるビタミン・ミネラルにつき, 変更点を中心に述べる。脂溶性ビタミンでは, ビタミンDの目安量の根拠は従来健康人摂取の中央値だったが, 近年ビタミンD欠乏/不足者の割合が非常に高いことが明らかとなり, 「骨折予防に必要な量-日照による産生量」に変更された。水溶性ビタミンでは, 葉酸に関して, 食事性葉酸と狭義の葉酸の区別が明記された。多量ミネラルでは, ナトリウム (食塩相当量) の目標量 (上限) は, 高血圧・慢性腎臓病の発症予防のため, 望ましい摂取量 (5 g/日) と日本人の摂取量の中間値に基づき, 男性 < 7.5 g/日, 女性 < 6.5 g/日とされ, 今回その重症化予防のための量 (< 6 g/日) も定められた。カリウムは目標量 (下限) が定められ, ナトリウム・カリウム比の重要性も記載された。微量ミネラルでは, 妊娠中期・後期での鉄の付加量が引き下げられた。策定栄養素には変更なく, クロムについてのみは必須性に関して再検討されているが, これらの必須性は既に確立され, 食品成分表と合わせた活用が重要である。ヒト対象のエビデンスは少なく, 日本人での研究が必要である。

報文
  • 吉積 一真, 熊倉 啓人, 藤浪 未沙, 細谷 孝博, 熊澤 茂則, 堀 由美子
    2020 年 73 巻 6 号 p. 237-245
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/26
    ジャーナル フリー

    パルミラヤシ由来の含蜜糖であるパームシュガーは, ポリフェノールやミネラルを多く含むことから, 上白糖の代替品としてだけでなく, 生活習慣病に対する有用性が期待されている。そこで, パームシュガーの総ポリフェノール含量と抗酸化活性を評価し, 実験動物を用いたパームシュガーの単回・長期摂取が血糖応答に及ぼす影響について検証した。その結果, パームシュガーの総ポリフェノール含量は黒砂糖と同程度に高含量であり, 抗酸化活性 (ORAC値) は黒砂糖より低いものの, ココナツシュガーやメープルシロップより高い値を示した。パームシュガーのマウスへの単回投与は, 上白糖と比較して投与後30, 120, 180分のΔ血糖値が有意に低かった (30分: p < 0.01, 120, 180分: p < 0.05) 。また, 曲線下面積 (ΔAUC) も, 上白糖と比べて有意に低値であった (p < 0.01) 。約3カ月間のパームシュガーの継続的な投与による空腹時血糖値の上昇は認められなかった。以上の結果から, パームシュガーは血糖上昇が緩やかな甘味料であることが示唆された。

資料
  • 木原 稔, 神部 飛雄, 北村 真人, 渡辺 亮太
    2020 年 73 巻 6 号 p. 247-253
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/26
    ジャーナル フリー

    廃棄される未利用資源であるオホーツクホンヤドカリPagurus ochotensisを食品として利用するために, 丸ごと外骨格ごと一般成分, 重金属を, 部位別に外骨格ごと遊離アミノ酸ならびに脂肪酸を分析した。その結果, 脂質が多く, 外骨格を含むために灰分, 炭水化物が多く, 水分が低かった。総水銀, 鉛, カドミウムは検出されず, 総ヒ素は0.77 ppmであった。遊離アミノ酸総量及びタウリンはズワイガニの値よりも多く, アンセリンやカルノシンが含まれていた。腹部の脂肪酸は, エイコサペンタエン酸 (EPA) 及びドコサヘキサエン酸 (DHA) 含量が高く (100 gあたりEPA 1,600 mg, DHA 800 mg) , 季節変動するが, EPAは主な青魚類よりも多かった。オホーツクホンヤドカリの重金属類含有量は食品として問題になるレベルではないこと, 食経験の報告もあることから, 食品として利用可能と判断できた。また, 遊離アミノ酸が多く, タウリン, アンセリン, カルノシン, EPA及びDHA含量が多いことが食品としての特徴である。

講座
  • 松本 万里, 渡邊 智子, 松本 信二, 安井 明美
    2020 年 73 巻 6 号 p. 255-264
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/26
    ジャーナル フリー

    目的: 組成に基づく成分値を基礎とした食品のエネルギー値 (アミノ酸組成, 脂肪酸組成, 炭水化物組成などを用いたFAOが提唱する方法, 組成エネルギー値) と従来法によるエネルギー値の相違を明らかにすることを目的とした。方法: 日本食品標準成分表2015年版 (七訂) の収載食品を対象に可食部100 g当たりの組成エネルギー値を算出し, 既収載のエネルギー値 (既収載値) と比較した。さらに, 平成26年国民健康・栄養調査の食品別摂取量から, 組成エネルギー値および既収載値を用いてエネルギー摂取量を算出し, 両者を比較した。結果: 可食部100 g当たりの組成エネルギー値 (a) と既収載値 (b) との一致率 (a/b×100) は, 126±24% (藻類) から76±20% (野菜類) の範囲であった。一致率が100%未満の食品群は14群であり, 全食品の一致率は91±17%であった。一致率80‐100%の範囲に対象食品の68%が含まれ, 一致率60‐80%に対象食品の13%が, 一致率100‐120%に対象食品の12%が含まれていた。国民健康・栄養調査の食品別摂取量を基に, 組成エネルギー値を用いて算出した総エネルギー摂取量と, 既収載値を用いて算出した総エネルギー摂取量との一致率は, 92%であった。

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