ニホンミツバチApis cerana japonicaのハチミツは, 自然発酵することが知られている。しかし, 発酵したハチミツは, 販売されることがほとんどない未利用資源となっている。本研究では, 発酵したニホンミツバチのハチミツを食品として利用するため一般成分と25種の遊離アミノ酸を分析した。発酵したハチミツは, グルタミンやGABA, シスチン, フェニルアラニン, プロリンの5種で大幅な含有量の増加が確認された。さらに, 未発酵のハチミツでは未検出であったヒスチジンやシトルリン, テアニン, シスチン, メチオニン, トリプトファンの6種が発酵したハチミツのみに確認された。一方で, 一般栄養成分には大きな相違は見られなかった。発酵したハチミツのみで増加していた遊離アミノ酸の存在が, 今回はじめて確認された。これらのアミノ酸は, ヒトやミツバチにとって有用であることから, 未利用資源である発酵ハチミツの利用が期待できる。