日本栄養・食糧学会誌
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総説
脂肪酸受容体を介したインクレチン分泌機構
山根 俊介原田 範雄
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2023 年 76 巻 3 号 p. 133-140

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抄録

遊離脂肪酸 (free fatty acid: FFA) は単なる栄養素ではなく, さまざまな生理的機能の調節因子として作用する。遊離脂肪酸受容体 (free fatty acid receptor: FFAR) は, 腸管において腸管内分泌細胞 (enteroendocrine cell: EEC) に発現しており, 主として長鎖脂肪酸 (long-chain fatty acid: LCFA) から構成される食事性脂肪の摂取や, 腸内細菌叢が生成する短鎖脂肪酸 (short-chain fatty acid: SCFA) などの刺激による腸管内分泌ホルモンの分泌に関与する。グルカゴン様ペプチド-1 (GLP-1) およびグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド (GIP) は栄養素摂取に伴ってEECから分泌され, 膵β細胞からのインスリン分泌を促進する腸管内分泌ホルモンであり, インクレチンと総称される。長鎖脂肪酸受容体であるFFAR1やFFAR4, 短鎖脂肪酸受容体として知られるFFAR2やFFAR3のインクレチン分泌への関与が報告されている。インクレチンは血糖降下と体重増加抑制に有利に働く多面的な生理活性を有しており, FFARは2型糖尿病や肥満に対する創薬標的の候補となりうる。本総説ではインクレチン分泌機構におけるFFARの役割について概説する。

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