日本栄養・食糧学会誌
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酒粕は2型糖尿病モデルマウスKK-Ayの耐糖能異常発症を抑制する
川内 美樹小玉 智章荒木 光射場 仁美
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2023 年 76 巻 4 号 p. 223-229

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抄録

酒粕は清酒を醸造する際に圧搾した後の副産物であり, その多くは産業廃棄物として処理されている。しかし, 酒粕には米由来の成分だけではなく酵母や麹菌の菌体成分, その代謝産物も含むため栄養価が高く, 様々な生理機能が報告されている。本研究では, 凍結乾燥させた酒粕を混合した飼料を2型糖尿病モデルマウスに摂取させることで得られる効果について検証した。糖尿病モデルマウスに酒粕混合食を40日間摂食させた結果, 随時血糖値の上昇が有意に抑制され, 経口糖負荷試験 (OGTT) においても改善傾向が確認された。血清インスリン濃度は酒粕を与えることで減少し, 血清アディポネクチン濃度は有意に増加した。さらに, 酒粕混合食群では骨格筋でのglucose transporter 4 mRNAの発現が有意に増加した。これらの結果から, 凍結乾燥させた酒粕には2型糖尿病における耐糖能異常の発症を抑制する効果があることが示唆された。

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