脂質摂取およびその代謝は生活習慣病の発症に関わる。おもに動脈硬化症を中心に4方向のアプローチで行ってきた。すなわち (1) 脂質による遺伝子発現の調節および脂質代謝に関わる遺伝子変異の発見と病態との関係を追求し, 高コレステロール血症を発症するラットを用いて, その遺伝子同定と, その遺伝子と三大栄養素代謝との関連を明らかにした。 (2) 脂肪酸の必須性およびその生体挙動と病態との関係では, 動脈硬化症の横断研究において, ヒト血清中のリン脂質の脂肪酸組成を測定し, 病態との関係を明らかにした。 (3) 食事および生体に存在する微量脂質成分と病態では, 微量成分として, 酸化コレステロールの生理的意義について研究を行っている。なかでも肥満の発症抑制をもつ酸化コレステロールを発見した。 (4) 脂質代謝に関連して発症する病態の改善作用を有する機能性成分の研究において, プロバイオティクス菌による肥満改善効果等を発見した。