日本栄養・食糧学会誌
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総説
消化管化学受容システムの理解と栄養学への展開
松井 伸祐岩槻 健
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2024 年 77 巻 4 号 p. 231-237

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抄録

生物は, 外界の状況を察知し, より安全な環境で暮らし効率よくエネルギーを摂取できるよう進化してきた。特に栄養素受容に必須の消化管は劇的に変化を遂げ, 栄養価の高いものを認識し, 効率のいいエネルギー変換を可能にしてきた。一方で, 消化管は外来物と接する最前線にも位置しているため, 危険物を認識し忌避あるいは排除する機能を保持している。これらの機能を支えているのが, 内分泌細胞やTuft細胞など化学受容メカニズムを有する細胞たちである。消化管上皮に存在するこれらの細胞は, 体の内側に位置するため機能解析には困難が伴っていた。しかし, 最近の遺伝子組換え技術と薬理学実験を組み合わせた動物実験や, 新しい消化管培養法を用いることで, 当該分野の研究は躍進し新たな局面を迎えている。本総説では, 消化管の多彩な機能のうち, 化学受容システムについて最近の知見を紹介する。

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