骨格筋の量と質の低下は身体活動の低下を招き, 生活習慣病に罹患するリスクを高めるだけでなく, 高齢者では寝たきりのような不活動をもたらす。骨格筋の健康は日々摂取する食品成分によって調節されるため, 食品成分がどのような分子機構で骨格筋の健康に有益に作用するかを紐解く研究を進めてきた。ここでは以下の3つの食品成分で得られた結果を概説する。 (1) イソフラボン:ダイゼインがメスマウスにおいてエストロゲン受容体βを介して脱ユビキチン化酵素USP19の発現を抑制することで骨格筋量を増加させた; (2) プロビタミンAとビタミンA:β-カロテンとβ-クリプトキサンチンが寝たきりモデルと老化モデルのマウスにおけるヒラメ筋の萎縮をそれぞれ抑制した。さらにビタミンA応答遺伝子として同定したトランスグルタミナーゼ2が分泌タンパク質としてβ-カロテンによるヒラメ筋量増加に関与した; (3) 脂肪酸アミド:オレアミドが座りがちな生活による運動不足を模倣するモデルのマウスで起こる前脛骨筋の萎縮を抑制した。