2025 年 78 巻 3 号 p. 151-157
心血管疾患の発症そして治療における食事の影響は重要である。近年, 冠動脈疾患予防におけるLDL-Cの目標値の設定が注目され, より強力に低下させることが推奨されるようになってきた。日本のガイドラインでは二次予防では100 mg/dL未満もしくは70 mg/dL未満であるが, 欧米では55 mg/dL未満が勧められるようになった。遺伝性あるいは薬物療法の有無に関わらず, 食事療法は重要である。実際に, 薬物療法下でも目標値に到達していても, コレステロールや脂肪 (特に, 飽和脂肪酸やトランス脂肪酸) の摂取が多くなれば, LDL-Cで10‐20%の変動は起こる。食事では, 適正な総エネルギー摂取量と脂肪エネルギー比率, 飽和脂肪酸やコレステロールの摂取に注意することが大切である。減塩した日本食パターンは脂質代謝を改善し, 動脈硬化性疾患予防に有用と考えられる。