2025 年 78 巻 3 号 p. 173-177
食塩を用いずに大豆を発酵させた無塩大豆発酵食品の摂食が高血圧自然発症ラット (Spontaneously Hypertensive Rat: SHR) の血圧上昇に与える影響を検討した。対照飼料および無塩大豆発酵食品を2.5%, 5%, 10%含む飼料をSHR/Izmに10週間摂食させた。すべての群で実験期間中に顕著な血圧上昇を認めた。無塩大豆発酵食品を摂食したSHR/Izmの収縮期血圧は, 開始3週間時点で対照群と比較して有意に低値を示した。拡張期血圧も, 開始9週間時点までにすべての無塩大豆発酵食品摂食群が対照群と比較して低値を示した。この無塩大豆発酵食品の血圧上昇抑制作用には明確な用量依存性を認めず, 血清生化学検査でも群間で有意差が生じた項目は無かった。以上の結果から, 少なくとも2.5%の無塩大豆発酵食品を含む飼料の摂食がSHR/Izmの血圧上昇を減弱することが示され, 高血圧に対する無塩大豆発酵食品摂食の潜在的な有用性が示唆された。