栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
小麦胚芽の研究 (第11報)
胚芽及び小麦粉の貯蔵中のグルタチオンの変化
岩田 久敬小林 邦彦中谷 哲郎林田 卓也泉 清
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1958 年 10 巻 4 号 p. 172-175

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抄録

1. 小麦胚芽は生でも炒つたものでも, 還元型グルタチオン (G) 約100mg%と, 総G約250mg%を含んでいた。これを37℃で16日間貯えた場合に生胚芽では還元型G 40%以上を損失したが, 炒つたものでは少く, 20%以下を損失するに過ぎなかつた。これを更に30℃で80日間貯えた場合にGの損失は多かつた。然し炒つたものでは常に損失がやや少かつた。
2. 小麦胚芽の炒つたものを約2年間室温に貯えた場合の損失は, 還元型Gは約93%で, 総Gは約68%であつた。
3. 米胚芽は還元型G 40mg%, 全G 150mg%余を含んでいた。大麦胚芽は前者を20mg%, 後者を40mg%位含んでいた。
そして貯蔵中の還元型Gの損失は大麦胚芽の方が少かつたが, 総Gの損失は両胚芽共に少かつた。
4. 小麦粉のGは強力粉・普通粉・新鮮粉・未漂白粉に多くて, 還元型G約7mg%, 総G約30mg%であつた。その他の粉は前者3mg%, 後者20mg%位であつたが, 多くの場合に貯蔵した粉はこの値をほぼ最低値として保つていた。
5. 一般に還元型Gは貯蔵中に速かに減少し, 総Gは減少がおくれ, 小麦粉の場合には数ヵ月間不変のこともあつた。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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