栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
そばの成分に関する研究 (第2報)
そばデンプンの性状 (その2)
古沢 康雄小林 知枝
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1963 年 16 巻 1 号 p. 39-45

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抄録

各種のそばデンプンならびにそば粉のアミログラムについて検討を行ないつぎの結果を得た。
(1) そばデンプンのアミログラムは, 一般に同濃度の穀類デンプンのアミログラムに類似したカーブを示す。
(2) 精製デンプンを調製する際の脱脂条件に影響され, 85%メタノールで還流加熱を行なった場合には明らかに傾向の異なる粘度の低いアミログラムを得る。これは約80℃における加熱処理中にデンプン粒の性質が一部変化し膨潤し難くなるためであると考えられる。アミログラムの作製に供する試料の脱脂は, 85%メタノールを用いてソックスレー法で行なう方がよい。
(3) 産地, 収穫期の異なる各種そばデンプンについて8.0%の濃度で測定した結果, 糊化点は64.3-67.7℃の間に, また加熱時の最高粘度は680-1, 020B. U.の間にあった。
(4) デンプンの調製原料となった各種そば粉を100メッシュの篩で粗粉部と微粉部とに分けそれぞれのアミログラムを作成すると, 粗粉部は微粉部に対して非常に粘度の低い傾向を示す。これは粗粉部には灰分, たん白質, 脂肪, 繊維などが多く, 一方デンプンは少なくマルトーズ価が高いことなどが原因である。
終わりに終始御懇篤なる御指導を賜わり, かつ実験に際して種々の御便宜をいただいた農林省食糧研究所長, 東大教授桜井芳人先生に深謝の意を表するとともに, アミログラフィに関して御指導御助言をいただいた食糧研究所の鈴木繁男技官, 根本芳郎技官その他の各位に対し厚く感謝する。また研究費の一部を恵与された財団法人糧食研究会ならびに日本麺類業組合連合会に対し厚く謝意を表する。
なお信濃1号の種実を分譲していただいた長野県農業試験場の浦野啓司場長および試料の分析に協力された本学の宮下詮子嬢に感謝する。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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