抄録
栄養状態の不良なひえ地帯の学童に肝油を与えることにより暗調応は著しく改善されたがまだ正常にはならなかった。脱脂粉乳の給食が長期行なわれた結果ほとんど正常にまで回復した。
毛髪シスチン含量は初めきわめて低い値を示し, 肝油だけの投与では僅かしか高まらなかったが脱脂粉乳を9カ月与えるとほとんど正常な値にまで上昇した。
肝油投与により尿中の窒素, 燐の排泄の減少, 硫黄およびサイアミンの増加が認められた。肝油とともに水溶性ビタミン (除B12) の投与を行なうと燐は減少し硫黄は増した。
水溶性ビタミンの投与によりサイアミン, リボフラビンの排泄が著しく増したことはこの学童達にこれらビタミンの不足があったことを示すものと思われる。