栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
穀類蛋白質の蛋白分解酵素による分解に関する研究 (第2報)
小麦グルテンおよび大豆グリシニンの熱処理の有無によるアミノ酸遊離度の経時的変化について
星野 直司田村 真八郎川端 晶子泰磨 綾子原 春樹
著者情報
ジャーナル フリー

1965 年 18 巻 2 号 p. 111-114

詳細
抄録
小麦グルテンおよび大豆グリシニンを加熱処理 (1.05kg/cmcm2 30分間オートクレープした) したものと, しないものを基質としてパンクレアチン (以下P) 乃至プロナーゼ (以下S) の両蛋白分解酵素でin vitroで消化し, 両蛋白質の消化性の差異を18種アミノ酸の遊離度の経時的変化 (1, 2, 4, 6, 24時間) の面から観察した。アミノ酸の定量は微生物法を用い, 各基質の24時間消化物については諸形態N量も測定した。また, 熱処理しないものの4および24時間消化物について2次元ペーパークロマトグラフィで定性的な観察を行なった。
その結果, 18種遊離アミノ酸の総和量および各態Nの遊離度で, 両蛋白質の消化性を比較すると, P消化物の熱処理しないものではほぼ一致するが, 熱処理物ではグリシニンの方が高く, S消化物では熱処理の有無に関せずグリシニンの方が高い。熱処理によってグリシニンのP消化ではその消化性は高まり, そのS消化およびグルテンのP, S消化では低下する。個々のアミノ酸については (表2), 蛋白の種類, 熱処理の有無および酵素の種類で, それぞれ遊離化の様相を異にする。ペーパークロマトグラフィでの観察でも, ほぼ同様な傾向が認められる。両蛋白質の24時間消化物ではGlu-NH2, Asp-NH2がそれぞれ若干観察される (図1)。
著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top