抄録
こんにゃく粉がカロリー源としてどの程度動物の成長に利用されるかを知るための第一段階として, 米でんぷんの一部をこんにゃく粉で置き換え, pair feeding methodを用いて15%および30%こんにゃく粉混入群を米でんぷん群と比較した結果, 体重増加では両者とも米でんぷん群よりやや劣る程度で, あまり著しい差はみられなかったが, 腹部の膨満がみられたので剖見したところ, 消化管 (内容物共) の重量が大きく, いわゆる見掛けの体重増のあることが判明した。そこで終体重から消化管の重量を差引いた値からさらに初体重を引いたものを仮に真の成長量と考えて比較検討した結果, こんにゃく粉の混入の多くなるに従い, 成長量は劣るがある程度ネズミの成長に効果のあることがうかがわれた。しかしその程度がどのくらいかについては判然としなかった。一方こんにゃく粉炭水化物の消化率は97~99%であって, 井上が人間で得られた成績にほぼ等しい結果を得た。