栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
ナメコの粘質物に関する研究 (第1報)
分別多糖類の構成糖類, アミノ酸および灰分中金属の検索
石沢 清
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1967 年 19 巻 5 号 p. 365-372

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抄録

ナメコ粘質物を子実体から分離した粘液よりエタノールおよびエーテルによって分離し, これを各種の溶剤により構成多糖類の分別を行ない, ペーパークロマトグラフィーおよび各種の検出法により構成糖類の検索を試みた。また粘質物の主要成分である冷水可溶性多糖類の構成アミノ酸および灰分中の金属を検索同定し, 次の事実を明らかにした。
(1) 粘質物は数種の多糖類からなる複合物であると考えられる。すなわちセルロース, ヘミセルロース・プロトペクチン様物質, 冷水可溶性多糖類, 熱水可溶性多糖類およびエタノール可溶性多糖類が複合物を形成し, 水分の存在でゲル化膨潤し, 多量の水を含み, この水に遊離アミノ酸および糖類が溶解し吸含されているものと考えられる。
(2) 粘質物の主体は冷水可溶性多糖類であって, それは比較的多量のマンノース, キシロース, ガラクトースとやや少量のフコース, グルコースおよびグルクロン酸からなっている。なお構成アミノ酸として比較的多量のグリシン, アラニンとやや少量のアスパラギン酸, グルタミン酸, スレオニン, アルギニン, バリンおよびロイシンを含み, 一種のムコ多糖類であろうと考えられる。
また約3.5%の灰分を含み, その構成金属としてカルシウム, マグネシウム, アルミニウムおよび鉄を含んでいた。そしてこれらの金属は粘質物とイオン結合をしているものと推測される。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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