栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
19 巻, 5 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 小麦粉に関する研究 (第8報)
    木咲 弘
    1967 年 19 巻 5 号 p. 313-317
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    製パンのさいヘプタンを少量添加すると, パンのきめが改良され, この改良作用は薄力粉の場合により効果的であった。なお, パンのすだちの状態をしらべるのにゼロックスを用いて接写すると, きめの判定が容易になった。
    小麦粉に水と少量のヘプタンを加えてドウを作り, これからグルテンをとると, グルテンは粘性の少ない弾力性にとんだものとなった。グルテンとして回収されるNの総量はほとんどかわらないが, 脂質は増加し, F/Pの値が大きくなった。グルテンを70%アルコールで処理して, グリアジンを洗出し, グルテニンをとると, 回収されるNの総量が, ヘプタン添加により増加した。また, ショートニングを含むドウにヘプタンを加え, これからグルテンをとると, グルテンは著しく脂質含量の多いグルテニン型のものとなった。
    また, ヘプタンを添加したドウからとったグルテンを希酢酸に分散溶解して水酸化カルシュウムで中和し, 分別沈殿によりグルテンをとると, 粘弾性のつよいグルテン区分が増加し, 粘性の大きいグリアジン型のグルテン区分が減少する。ヘプタンの添加量の多い場合は, 粘性の大きい区分が著しく減少し, 弾力性にとんだ区分が増加した。
    したがって, ヘプタンのパン生地改良作用の一因は, グルテン中のグルテニンの増加により起こるのでないかと推論した。
  • 祐川 金次郎, 小沢 成子
    1967 年 19 巻 5 号 p. 318-324
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1964年8月から1965年7月までの1カ年間, 釧路地方の農漁村在住婦人34名の乳汁を経時的に採取して分析し, つぎのような結果を得た。
    1. 個人および採取時期によって, 成分組成には著しい変動が認められた。
    2. 都市在住婦人の人乳平均組成に比較して, 全固形分, 脂質, 灰分, カルシウム, 鉄含量は極めて少ない。
    3. 漁村在住授乳婦では, 全般的に農村在住授乳婦の乳汁に比較して各成分含量が少なく, その変動も大きい。さらに漁村婦人の場合には, 乳汁中変動が比較的少ないと考えられている乳糖およびタンパク質もかなり低濃度であった。
  • 米・麦摂取の血液ピルビン酸, 乳酸, リン脂質および酵素に及ぼす影響
    柳沢 文正, 小笠原 公
    1967 年 19 巻 5 号 p. 325-330
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ウサギを実験動物として, 強化精麦を健康群および四塩化炭素中毒, 高コレステロール血, 飢餓などの実験的不健康群に与えて飼養し, 血液成分に及ぼす影響を精白米投与のものとあわせ比較検討した。
    1. 強化精麦食群は精白米食群に比較していずれの実験区分でも血液ピルビン酸, 乳酸, アセトンが低値であった。
    2. 強化精麦食群は高コレステロール血症群において精白米食群より血清総脂質, リン脂質が低値であり, 他の実験区分では高値であった。
    3. 強化精麦食群は飢餓試験で血清アルカリ性フォスファターゼ, トランスアミナーゼ活性値が高く, 他の実験区分では精白米よりも低値であった。
    以上を総括して強化精麦食は血液中の酸性物質の増加が少なく, 血清アルカリ性フォスファターゼ活性作用も関与して血清電解質の改善的な変動により, 血清無機リンの減少と透析性カルシウムの増加がありアルカリ性体質にすること, さらには円滑な脂質代謝の進行により血清総コレステロールの減少がみられる。これらのことから強化精麦は主食としての価値が高く, 今後米麦混食の食生活に寄与するものと信ずる。
  • 市販食塩中のフッ化物について
    岡村 保, 松久 次雄
    1967 年 19 巻 5 号 p. 331-333
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    本報告は食塩中の不純物としてのフッ化物が精製過程においてどのように除去されるかを知るためにおこなったものであり, それに市販食塩の数例の分析結果を加えたものである。その結果, 市販品として入手された食塩中, フッ化物の多く含まれているものは原塩で36.73ppmをしめし, 精製度の高い食卓塩, 精製塩等は8.74ppmであった。精製度の点で原塩と食卓塩の中間にある上質塩は19.83ppmで数値的にも中間の値をしめした。また真空式製塩工程において, 食塩スラリーを洗滌用母液で洗滌するとそのフッ素含有量は低下することがあきらかとなった。
  • たくあん漬込み中におけるフッ素含有量の変化
    岡村 保, 松久 次雄
    1967 年 19 巻 5 号 p. 334-335
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    代表的な日本食品としてのたくあん漬の漬込み中におけるフッ化物含有量の変化をしらべるために10ヵ月間にわたり対照区とカルシウム強化区をもうけ, 調査をおこなった。本実験においてフッ素の定量はジルコニウム・エリオクロムシアニンR法によった。その結果, たくあん漬込み中にフッ素含有量を減ずること, カルシウム強化は減少度を遅らせることを知った。
  • 徳安 泰子
    1967 年 19 巻 5 号 p. 336-339
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1. 米麹を乾燥法, 塩切法および瓶詰法により保存し, 麹保存中の外観変化および水分含量の変動と併せて, そのアミラーゼおよびプロテアーゼ活性の変動を検討した。
    2. 瓶詰法は外観変化が最も著しく, 強度の着色と自己融解がみられ, さらに雑菌も混入して食品価値の低下が大であった。酵素活性も約3カ月保存でアミラーゼおよびプロテアーゼ活性ともに, 出麹直後の約1/6および1/10にまで低下し, 麹の保存法としては不適当であることを認めた。
    3. 乾燥麹および塩切麹では出麹後1~2週間で, そのアミラーゼおよびプロテアーゼ活性がそれぞれ50~70%程度にまで低下したが, その後6カ月以上の長期にわたる保存中の酵素活性の変動は殆んどみられず, 大体50%程度の比活性が保たれていた。また, 乾燥麹では保存中の外観変化は殆んど認められず, 塩切麹では長期保存中に緩徐な醗酵作用により味噌類似の様相を呈した。
    4. これらのことから, 塩切法 (味噌, 漬物用) あるいは乾燥法 (甘酒, 金山寺味噌) による麹の保存方法はその実用性が十分あると考察された。
  • 斉藤 芳枝, 町田 哲子, 須崎 みち子, 慶田 雅洋
    1967 年 19 巻 5 号 p. 340-343
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    インドフェノール滴定法により半発酵茶のビタミンC含量を測定する場合には茶浸出液の色調にさまたげられて測定の個人差が大きくなる欠点があるが, インドフェノール・ブタノール法ではこの障害は取り除かれる。インドフェノール・ブタノール法は多数の試料について迅速に測定するのに適しており, Roe法によるヒドラジン法を標準として比較した結果インドフェノール滴定法ではやや高い値が得られたが, インドフェノール・ブタノール法はよく一致した。インドフェノール・ブタノール法は多数の試料について迅速に測定するのに適した方法である。
    インドフェノール・ブタノール法による半発酵茶の還元型ビタミンCの測定結果は60~110mg%であって包種茶の方が烏竜茶よりも高い傾向を示した。
  • 特に食塩加工食品
    山田 美恵子
    1967 年 19 巻 5 号 p. 344-347
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    Schales-Schalesによる血清クロールの測定法を食品中の食塩定量に応用し, 試料の処理法を簡易化し, 種々の食品について測定を試みた結果, 能率的にかなり低濃度 (Clイオン約0.0005Nまで) の食塩も或程度測定できることを見出した。この方法の利点は特殊な機械, 器具類を必要とせず, 操作が容易迅速で, 多数のSampleが処理できること, 少量の試料でかつ相当希釈して測定するため, 色素を使用したものおよび有色食品もかなり測定できることなどである。
  • 別所 秀子, 黒沢 祝子
    1967 年 19 巻 5 号 p. 348-350
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    味噌漬牛肉の硬化防止に適当な市販プロテアーゼ剤について検討し, ある種の酸性プロテアーゼが極めて有効であることを明らかにし, その効果について考察した。
  • 松谷 康子
    1967 年 19 巻 5 号 p. 351-354
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    衛生上または食品保存の必要から, 調理室内または食品などに殺菌燈の照射が行なわれる。ソーセージに対しこれが照射を行ないTBA反応値に及ぼす影響について観察し次の如き結果を得た。
    1. 供試品ソーセージは専らKハム製ボロニアソーセージを供試した。
    2. 生産工場にて直接に購入したもの7本中TBA反応測定値±~0.15付近のもの5本, 0.6付近のものも2本であった。
    3. これと同様の市販品30本のTBA反応測定結果は殆んど0.5~0.7であった。
    4. これらのソーセージはその部位により若干TBA反応値の相違がある。
    5. TBA反応値平均0.623のソーセージに対し距離26cmにて180分間照射した場合TBA反応値1.323となり約2倍となる。
    6. ソーセージに対する照射時間15W日立殺菌燈2本を30分間に一定した場合距離35cm以内では距離の短いほどTBA反応値は増加するが35cm以上では殆んどTBA反応値には影響がない。
    7. 殺菌燈照射によるTBA反応値の変化は表面に限られ, 内部には及ばない。
    8. 赤黄緑などのセロハンにて被った場合TBA反応値に及ぼす照射の影響は殆んどみとめられなかった。
    9. 冷蔵器内に於いて照射したビタミンA含有油中のビタミンAはかなり消失減少するように思われた。
  • 結城 節子
    1967 年 19 巻 5 号 p. 355-357
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    食形態の変化に伴いジャム類の消費量にも影響があるものと考えられるが, 国内製品はいうに及ばず各種の輸入品も多く使用せられその他計り売り品も多く出回わっているので, それらのビタミンC含有量を検討した。結果を総括すれば次のようである。
    (1) 国産瓶詰4種のうち10mg%以上のもの3種 (その平均15.11mg%), 6.15mg%のものが1種あった。
    (2) 国産缶詰7種のビタミンC含有量には10mg%以上のもの3種 (平均11.45mg%) 10mg以下5mg以上のもの2種 (平均5.86mg%) それ以下のもの2種 (その平均3.46mg%) であった。
    (3) 輸入品は13種類とも瓶詰であったが, そのうち10種が9.94~5.96mg% (平均6.87mg%) の範囲にあり, 3種が4.64~3.73mg% (平均4.17mg%) で10mg%以上のものはなかった。
    (4) 計り売り品7例中1種が9.59mg%であったが他はすべて5~4mg%付近であった。
    (5) 従って瓶詰ジャムのビタミンC含有量は缶詰品に比して高くしかも国内産瓶詰において最も高く, 同缶詰ならびに輸入瓶詰においてほぼ匹敵しこれに次ぎ計り売りにおいて最も低かった。
    (6) 開缶後は常温に放置する場合短期間ではビタミンCの減少率は少ないが冷蔵器内に静置しても長期ではかなりの減少を示すことが考えられる。
  • リジン定量値に及ぼす試料調製法の影響
    品川 孝雄, 垣生 俊夫
    1967 年 19 巻 5 号 p. 358-360
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    食品蛋白質のリジン含有量を微生物法とDNP法によって定量し, 両定量値を比較検討した結果, 分析試料を非加熱的に調製した場合には, 微生物法定量値に対するDNP法定量値の比は, 肉魚類では96%以上, 植物性食品においても90%以上という高値が得られたが, 両種食品とも98℃ 1ないし8時間乾燥, あるいは肉魚類, 野菜類のごとき高水分含量試料の50℃ 15時間乾燥の場合には, いずれもその比は大むね90%あるいはそれ以下に止まる事を認めた。これらの結果から, 食品蛋白質中の生物的活性リジンの定量に際し, 特に含水量の高い場合の分析試料調製法としては, 既報のごとくアセトン脱水による非加熱処理法が適当であると思われる。
  • 高橋 美帆, 下村 得治
    1967 年 19 巻 5 号 p. 361-364
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    蕎麦種子について発芽に伴う糖含量と糖組成の変化を検討した。
    その結果, 発芽に伴って全糖, 粗澱粉が著しく減少, 同時に可溶性糖, 還元糖が増加, やがていずれも平衡状態になることがわかった。
    糖組成をみると未発芽種子にはsucrose, raffinose, stachyoseが存在し, 発芽後もこれら3種の糖は継続して存在し, この他にglucoseとやや遅れてfructoseが認められ, また発芽中期にはisomaltoseが, 後期にはisomaltotriose (?) が認められた。発芽全期を通してsucrose含量は常に一番高く, 発芽後期にはraffinose, stachyoseの割合が高まる傾向を示した。
  • 分別多糖類の構成糖類, アミノ酸および灰分中金属の検索
    石沢 清
    1967 年 19 巻 5 号 p. 365-372
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ナメコ粘質物を子実体から分離した粘液よりエタノールおよびエーテルによって分離し, これを各種の溶剤により構成多糖類の分別を行ない, ペーパークロマトグラフィーおよび各種の検出法により構成糖類の検索を試みた。また粘質物の主要成分である冷水可溶性多糖類の構成アミノ酸および灰分中の金属を検索同定し, 次の事実を明らかにした。
    (1) 粘質物は数種の多糖類からなる複合物であると考えられる。すなわちセルロース, ヘミセルロース・プロトペクチン様物質, 冷水可溶性多糖類, 熱水可溶性多糖類およびエタノール可溶性多糖類が複合物を形成し, 水分の存在でゲル化膨潤し, 多量の水を含み, この水に遊離アミノ酸および糖類が溶解し吸含されているものと考えられる。
    (2) 粘質物の主体は冷水可溶性多糖類であって, それは比較的多量のマンノース, キシロース, ガラクトースとやや少量のフコース, グルコースおよびグルクロン酸からなっている。なお構成アミノ酸として比較的多量のグリシン, アラニンとやや少量のアスパラギン酸, グルタミン酸, スレオニン, アルギニン, バリンおよびロイシンを含み, 一種のムコ多糖類であろうと考えられる。
    また約3.5%の灰分を含み, その構成金属としてカルシウム, マグネシウム, アルミニウムおよび鉄を含んでいた。そしてこれらの金属は粘質物とイオン結合をしているものと推測される。
  • シイタケ中の有効成分の分別 (その2)
    渋川 尚武, 徳田 節子, 金田 尚志
    1967 年 19 巻 5 号 p. 373-377
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    シイタケ中のシロネズミ血漿コレステロールを低下させる有効成分は, 水抽出物のうち80%エタノールに溶解し, 無水エタノール不溶のもの, および水抽出物中無水エタノール可溶エーテル不溶物中に存在することを認めた。さらにこの有効成分は80%メタノールで抽出されるが, 無水エタノールでは抽出されないことも認めた。
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