抄録
11種の野菜・果実につき, 固体の状態すなわち輪切り, せん切りおよび丸のままの状態で, 紫外線を照射 (距離10cm) して, その影響を検討して次の事項を認めた。
(1) 大根, 夏みかん, トマトおよび玉葱の輪切り (厚さ5mm) に紫外線を2hr照射したもののVC残存率は, 汁の場合程の激減ではないが, 総C, 還元型Cともに暗所放置のものより減少し, 特に還元型Cの減少度が大である。
(2) じゃが芋, さつま芋およびにんじんの輪切りは暗所放置によっても, また紫外線照射 (2hr) によっても殆んど影響を受けないか, または極くわずかの影響を受けるに過ぎない。
(3) せん切り大根 (縦横5mm, 長さ50mm) に紫外線を照射 (2hr) した場合は, 輪切りよりもさらに一層総C, 還元型Cの減少がみられ, 特に還元型Cの減少が顕著である。
(4) 大根, 夏かん, トマトおよび玉葱など厚みのある野菜・果実の皮つき丸のままに紫外線を照射 (16hr) したものは, 何れもその影響が殆んど認められない。
(5) キャベツ, さやいんげんおよびほうれん草など厚みの少ない野菜に紫外線を照射 (16hr) したものは, 何れも総Cおよび還元型Cのかなりの減少がみられ, 特にキャベツの場合に顕著である。